柏ビレジ自治会における防災への取り組み

Ⅰ. 柏ビレジの防災への取り組み

災害発生時の支援には「公助」「共助」「自助」の三つがあります。自治会はその中でも、住民同士が協力して自分たちを守る「共助」で重要な役割を担うとの認識で、防災知識の普及や防災訓練の実施、防災用品の備蓄などを行ってきました。

ただ、社会情勢や自治会会員の変化が顕著になり、自治会が担う防災への取り組みの再検討が必要と考えています。具体的には、引き続き「共助」に目を向けつつ、住民自身の「自助」のお手伝いにより力を入れることにしました。

もう一つは想定する災害です。これまでは震災対策を中心に据えていました。しかし、背後に利根川が流れる低地に造成された柏ビレジに住む以上、洪水被害への意識も欠かせません。気候変動で台風が大型化し、ゲリラ豪雨や線状降水帯などの新現象で、毎年のように各地で水害が起きているだけになおさらです。洪水対策も強化していきます。

Ⅱ. これまでの備え

過去の災害経験やリスクへの備えから、地域ではさまざまな防災対策が講じられてきました。ここでは、これまでの取り組みや防災意識の向上に向けた工夫を振り返り、災害への対応力を強化するための活動をご紹介します。地域のみなさんが一丸となり、少しでも安全に過ごせる環境づくりを目指しています。

年度備え説明
2024年度自主防災訓練再開新型コロナウイルス流行もあり2019年度以降、中止していた自主防災訓練を、洪水の避難訓練で6年ぶりに再開しました。
2020年度災害時避難先マップ作成地震や洪水等の自然災害の種類に応じた避難所を地図上に明示し、高台への避難経路を示したオリジナルの地図を作成し、「災害時避難先マップ」を各戸配布しました。自分の避難先となる「マイシェルター」を記入し、家族や親しい方と共有いただけます。
2020年度LINE連絡網導入
災害時の緊急連絡に必ずしも有効ではない電話連絡網の補完手段として、LINE連絡網を導入しました。防犯情報や重要イベントなどの日常のお知らせも一斉送信しています。未登録の方はQRコードかこちらから登録をお願いします。ビレジに住むご両親に代わり、お子さまが登録されても構いません。
2017年度柏ビレジ版「K-Net」システム確立民生児童委員とも連携し、災害時要支援者の安否確認や避難支援を行うシステムを確立、要支援者の名簿は毎年更新しています。
2015年度防災公園の整備第2支部の第2ポンプ場跡地を整備し、防災備蓄倉庫を設置しました。防災用品は自治会館や運動広場の倉庫にも分散備蓄しています。
2012年度防災井戸「ビレジの泉」設置自治会館横に設置しましたが水質検査の結果、飲用には適しませんでした。生活用水としては使用できるため、維持管理を続けています。

Ⅲ. 想定する災害

自然災害は突然起こり、日々の生活に大きな影響を及ぼす可能性があります。ここでは、特に注意が必要な「地震」「洪水」「土砂災害」について、それぞれの特徴や、備えるためのポイントをわかりやすくお伝えします。大切な命と暮らしを守るために、理解を深めていきましょう。

地震には「プレート境界型地球表面を覆うプレートとプレートがこすれ合う境界面で起きる地震で、東日本大震災や心配される南海トラフ地震がこのタイプです。地震エネルギー(M)は大きく、被災範囲も広くなりますが、揺れの到達まで時間があるため「緊急地震速報」が有効です。」と「直下型プレート内部の活断層で起きる地震で、阪神・淡路大震災や24年の能登半島地震がこのタイプです。地震エネルギー(M)はそれほど大きくならず、被災も狭い範囲に集中しますが、震源から近いため揺れは大きく、すぐ到達します。このため「緊急地震速報」を出す時間的余裕はありません。」があります。不意打ちで発生します。

洪水には「内水氾濫大雨で排水が間に合わず、マンホールや家庭の排水口から雨水が逆流する現象です。気候変動で短時間に降る雨量が増え、頻発するようになりました。外水氾濫より規模は小さく、浸水が続く時間も短いですが、より起きやすい災害です。ビレジに降った雨は水辺の公園の第1調整池に集まり、第3支部のポンプ場から利根川に送られます。この処理能力を超える雨が降ると、急激に水があふれて床下、床上浸水や道路の冠水も想定されますが、2階への垂直避難で対応可能です。」と「外水氾濫大雨で増水した河川の堤防が決壊したいわゆる「洪水」で、命の危険も生じます。ビレジ裏には利根川からあふれた水を溜める「田中調節池」が広がりますが、この周囲提が決壊するとビレジのほぼ全域が浸水、場所により5m以上の浸水が長く続くと想定されています。田中調節池は19年の台風19号では満杯近くになりました。」があります。

内水氾濫から外水氾濫に進むこともあります。ただ、利根川や調節池の水位は常時、河川事務所が監視しており、われわれも閲覧可能で、不意打ちされることはありません。外水氾濫になると一刻も早い高台避難が必要ですが、浸水の中の避難は大きな危険を伴います。そうならないよう、事前に出される警戒情報に従い「早目の避難」が肝心です。

土砂災害は土砂災害警戒区域は柏市内で現在、106カ所指定されていますが、このうち柏ビレジにかかるものは大室1、2、3と花野井2,6,7,8の計7カ所になります。それぞれの詳しい場所などはこちらで確認できます。

Ⅳ. 日常の備え・対策のヒント

災害対応は「事前の備えと早目の避難」が決め手。それには、ご家庭で対策をしっかり行っていただく「自助」が何より重要です。そのためのヒントをまとめました。

〇平常時(日常)の備え
1.避難ルートの確保

柏市が公開するハザートマップで、自宅の洪水など災害時の危険度を把握。自治会の災害避難マップも参考に、災害時の避難場所とそこへの安全な避難ルートを決めておきましょう。注)洪水時は高台の避難所となるので震災時より少なくなります。

<最寄りの避難所>

事象避難場所
洪水田中近隣センター、田中小学校、田中中学校、旧吉田家住宅歴史公園広場、柏たなか駅前公園、香取/花野井神社
地震上記に加え、花野井小学校、近隣公園、水辺の公園、吉田記念TTC

※どんな情報が出たら何をするか、どこに避難するかなどを時系列で書き出す「マイ・タイムライン」を作っておくと避難時の行動指針となり、混乱が避けられます。

2.各家庭の備え

・常備薬や貴重品、現金など必要最低限の非常持ち出し品を準備、リストアップしましょう。
・携帯電話が使えなくなる事態に備え、家族ら必要な方の電話番号は書き出しておきましょう。
・外出中の災害に備え、緊急時の家族間の連絡手段や集合場所を決めておきましょう。
・震災に備え、家具の転倒防止策を。特に寝室の安全と脱出口の確保は大切です。寝室に上履きを用意するのもいいでしょう。

・飲料水や食料品、電池類、防寒具などの備蓄をお願いします。食料品は多めに買って、使用分を補充する「ローリングストックと家庭備蓄」が有効です。※備蓄の目安は飲料水が1人1日3㍑で3日分以上。携帯トイレは1人1日5回分を3日分以上。
・自治会での備蓄は「共助」となり、救助道具など家庭での備えが難しいものが中心になります。

〇洪水時の対策

・大雨の予報が出たら浸水予防策を。①土のうが無くても、ビニール袋に水を入れた簡易水のうや水を入れたポリタンクで玄関や裏口からの浸水を止める②簡易水のうで風呂場の排水溝やトイレをふさぎ、下水の逆流を防ぐ③重要な家財や車を高いところに移す―などの対策があります。

・柏市や気象庁が地区ごとに出す「大雨・洪水の警戒レベル」を避難の目安にします。5段階あり、レベル1が「心構えを高める」。レベル2が「避難行動の確認」。レベル3が「高齢者等避難」で高齢者や妊婦、幼児、要支援者らは避難を。自治体はこの段階で避難所を開きます。レベル4が「避難指示」で全員が直ちに避難を。レベル5は「緊急安全確保」で、既に災害が起き、命が危険な状態で、直ちに安全確保を図ります。

・道路が既に冠水しているなら、避難するのはかえって危険です。2階への「垂直避難」を。洪水では「命を守ること」が最優先で、状況によっては屋根への避難も覚悟してください。事前にどうすれば屋根に上れるかを考えておくことも重要です。
・そうならないよう、レベル3やレベル4での「早目の避難」が肝心です。どうしても悪条件下の緊急避難が必要なら、とにかく「高さをかせぐ」ことが鉄則。無理に避難所を目指すより、まずは近くの高台に向かってください。

・冠水した道路を歩くのは危険です。流れがあると水深20cmでも足を取られます。側溝やマンホールに気付かず落ちる危険もあります。どうしても歩く場合は棒や傘などで足元の安全を確認しながら進みましょう。靴はスニーカーなど脱げにくいものを。長靴は水が入るとかえって歩きにくくなります。
・車もタイヤが半分ほどつかる水深30cmでエンジンが止まったり、ドアが開かなくなったりします。放置車両は救助活動の障害にもなるため、冠水後の車での避難は極力控えてください。

・増水した利根川や田中調節池を見に行くのは危険です。このサイトの「ワンストップ防災情報」で、自衛隊駐屯地近くの堤防からのライブ映像を見られますので、そちらをご利用ください。
・柏市で雨が上がっても、上流の雨の影響で利根川の増水が続き、洪水の危険が高まることがあります。利根川上流の水位などもワンストップ防災情報で確認できます。

〇震災時の対策

・震災で怖いのは火災です。避難時、火の元点検は忘れずに。出火した場合は、安全を確保できる範囲内で初期消火を図ってください。

・近くに独居のご老人等がおられたら、可能な範囲で安否確認をお願いします。

・給水所は花野井小学校に設営されます。ただ、車で水を取りに行く際は、経路が決められていますのでご注意ください。花野井小学校 応急給水時経路図(PDF)

・避難所や車中泊の生活が長引くことが考えられ「健康維持」が課題です。感染症に注意し、持病の薬も忘れずに。静脈に血栓が詰まるエコノミークラス症候群や高齢者では筋力が落ちる生活不活発病の危険もあります。定期的に体を動かし、水分や睡眠もしっかりと。

・避難生活が長くなるため、自宅に倒壊の恐れがないなら在宅避難も。遠隔地の縁者宅への分散避難も考えてください。
・被災が広範囲に及ぶ震災では通信障害が起きます。災害伝言ダイヤルやフリーWiFiなどの活用を。
・断水に備え風呂の水を流さないご家庭もあると思います。ただ「水洗トイレは地震に弱い」ことに留意してください。下水管が破損している場合、無理に流すと汚水があふれることがあります。

(了)

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